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職場で安全運転教育を実施しましょう!

【全】緊急時メッセージ
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〔広報誌2021年3月号掲載〕

交通労働災害ゼロを目指して
職場で安全運転教育を実施しましょう!

交通労働災害の中でも毎年多くの死亡事故が発生している、自動車の運転業務。
安全運転への取組みとして職場ではどんなことができるでしょうか。
部署間の異動や新入社員の入社などで、不慣れな人が運転をする機会が増えるこの時期に、かけがえのない従業員や会社を守るための取組みを考えていきましょう。


監修 鈴木隆司 氏

交通教育センターレインボー埼玉(HONDAグループ)所長。個人の運転講習のほか、新入社員研修や事故再発防止研修、安全運転管理者研修など、企業を対象とした安全運転講習を行っている。




運送・交通運輸業だけではない!
業種を問わず発生している交通労働災害

 業務中の労働災害にはさまざまなものがありますが、労働者の死亡災害のうち「交通労働災害(交通事故・道路)」は、「墜落・転落」についで2番目に多く、全体の2割以上にもなります。
 交通労働災害は、運送・交通運輸業など、いわゆる“職業ドライバー”に多いと考えがちですが、実は、それ以外の業種が7割を占めているのです( 図1 )。
 企業向けの安全運転研修などを行っている交通教育センターレインボー埼玉の所長・鈴木隆司氏は、「最近は、免許を持っていても経験不足のまま仕事で自動車を運転し、事故につながってしまったケースも目立つ」といいます。つまり、運転に不慣れなことが事故のリスクとなる可能性があるため、業種にかかわらず、従業員への安全運転教育が大切なのです。


図1 交通事故に係る業種別死亡災害件数(2017年)

出典:厚生労働省「交通労働災害の現状と防止対策」



事故を防ぐには、“〇〇がある!”という断定的な「予測」が重要

 自動車の運転行動は、周りの状況を把握する「認知」、進む・止まる・曲がるなどの「判断」、実際にハンドルやブレーキを「操作」することの3要素で成り立っており、そのどこかにミスが生じると、交通事故につながってしまいます。中でも、事故原因の9割近くを占めているのが「認知」「判断」のミスです。
 この2つのミスを補うのが、状況を元に「予測」すること。例えば、「死角に車両がある!」「子どもが飛び出してくる!」など、「危険は必ずある」という断定的な視点で予測すると、死角に危険が潜んでいても、余裕を持って判断できます( 図2 )。
 しかし、運転行動の3要素と「予測」スキルは、ドライバーの心身が健康でなければ、正常に働きません。交通労働災害を防ぐために、管理者は従業員の労働時間を適切に管理して、休息・睡眠時間を確保し、心身を健康に保つと同時に、安全運転教育などを通して、全社的な意識向上に努めることも大切です。
 意識向上の取組みとしては、交通ルートや交通エリアの危険情報を共有する「交通ヒヤリマップ」の作成や、従業員一人ひとりの意識と運転能力を向上させる「危険予測トレーニング(=交通KYT)」などが取り入れやすいでしょう。


図2 運転行動を構成する3要素



危険なエリアは職場で共有
交通ヒヤリマップをつくりましょう

 運転時のヒヤリ・ハット経験は、情報として職場で共有することが大切。左図は、そうした危険情報を誰もが見やすいようにまとめた「交通ヒヤリマップ」の作例です。
 交通ヒヤリマップとは、従業員全員で出し合った危険情報を、業務の運転ルートやエリアマップに記入したもの。マップにヒヤリ・ハットの経験を随時追加するとともに、定期的な見直しを行うことで、「なぜヒヤッとしたのか」「どこに問題があったのか」を反復し、情報共有者の危険感受性を向上させる効果があります。また、管理者にとっても、運転前の注意喚起、ミーティング時の指導など、安全運転への取組みに幅広く活用できます







突然の危険な状況に、あなたはすぐに対処できますか?




ベテランドライバーでも要注意
危険への感受性を高めるトレーニングを!


 上の画像は、交通教育センターレインボー埼玉で実際に行っている危険予測トレーニング「動画KYT」から抜粋したものです。動画KYTとは、交通安全教育において事故防止の効果が期待されている手法の一つ。運転時に潜む危険を予測し、適切に対応することで、交通事故を防止しようとするものです。近年は、現実に近いスピード感を疑似体験できる動画を使った交通KYTが主流になりつつあります。
 「動画KYTの研修では、ベテランでも危険を予測できないケースが多々あります。これまで事故を起こしたことがないと油断してしまうのです。研修を受けた人の多くは『自分が思っていたより、危険予知のスキルが低かった』と自己評価を改めます」と鈴木所長は語ります。
 交通労働災害の防止には、日常的に危険への感受性を高めるトレーニングをすることが大切です。ウェブでいつでも体験できる、動画を使った交通KYT(下記参照)も公開されているので、交通安全教育に取り入れてみましょう。





すぐできる! 動画による交通KYTで、自分の運転能力や適性を把握しよう!


交通KYTを手軽に実施できる本田技研工業(株)WEBサイト

動画による交通KYTは、パソコンやスマートフォンで視聴できます。クイズ形式で、詳細な解説や歩行者からの視点も確認できるので、ぜひ職場ぐるみで体験し、安全運転への意識向上に役立てましょう。

本田技研工業株式会社 「交通センスを身につける 危険予測トレーニング」