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職場の「整理整頓」の進め方

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〔広報誌2022年2月号掲載〕

気持ちよく働きやすい環境で生産性もUP
職場の「整理整頓」の進め方

新年度を前に、従業員が気持ちよく働ける環境づくりを目指して職場の整理整頓をしてみませんか。
整理整頓は、職場の安全、業務効率化、生産性の向上につながるなど、目に見える効果が得られるとともに、従業員の精神面の安定やコミュニケーション向上にもつながるといわれています。
今回は職場の整理整頓について、整理収納マネージャー協会の丸山としこ氏に伺いました。





監修:丸山としこ氏

一般社団法人整理収納マネージャー協会代表理事
整理収納アドバイザーとして法人、個人宅の整理収納サービスを行うほか、「整理収納を企業文化に」を理念に企業内の整理収納活動のリーダーの育成を担当している。




整理整頓で4割以上の会社が従業員のモチベーションUPを実感

「整理整頓の効果」について、丸山氏は下記の「時間的」「経済的」「精神的」「対外的」効果の4項目を挙げます。実際に整理整頓によって、「書類を探し出すのに10分以上かかっていたが、書類を取り出す手間が大幅に減った」「不要な書類を処分したことでテナント料を削減できた」などの事例があり、無駄の削減と同時に作業効率・生産性もアップするなど複数の効果が生まれています。加えてケガや事故、情報漏えいリスクを防ぐ「安全的効果」、見た目のよさや清潔さを保つ「衛生・美観的効果」も期待できます。中でも「整理整頓の効果で最も注目すべきは、従業員の精神的効果」と丸山氏。下のグラフのとおり、「従業員のモチベーション・モラルが向上した」と回答した企業は44.2%に上り、整理整頓が従業員の心の安定にもつながっていることがわかります。

整理整頓で得られる主な効果


清掃、整理整頓、清潔に関する活動の効果(複数回答)






5Sはきちんと「整理・整頓」ができるかどうかがポイント

製造業や建設業ではおなじみの5S活動。丸山氏は「5Sは実は取り組む順番が重要。まず行うべきなのは整理、つまり不要なものを取り除く作業です」と指摘します。すでに5Sに取り組んでいる企業も、取り組む順番に注目して活動をいま一度見直してみましょう。
一方、「整理の段階で多くの企業で課題となり、実際に相談を受けることが最も多いのは、書類の仕分けとファイリングです」と丸山氏。次は、書類を中心に効果的な整理整頓の仕方についてご紹介します。

5Sは取り組む順番が大事





整理整頓をスムーズに効率よく進めるためのステップ

すぐに整理に取りかかるのではなく、事前の準備・計画が重要です。下記のSTEP1〜4で課題抽出を行い、目標、ルール、スケジュールを決めてから、作業を始めましょう。










整理整頓で会社によいサイクルが生まれる


丸山氏より

整理整頓を実践している会社の傾向として、職場がきれいに片付くことで職場の雰囲気が明るくなる、気持ちよく働けるようになるため離職率の低下につながっているということがいえます。また、探し物が少なくなり、時間を効率よく使えるようになるためおのずと生産性も高まるでしょう。このように整理整頓をきっかけに会社全体によいサイクルが生み出されます。
なお、取り組む際は全員が同じように整理整頓できると期待しすぎないことです。やる気のある人がフレームをつくれば、それを見て真似をしようとする人が出てくるでしょうから、徐々に会社が変わっていくのを見守っていきましょう。