これからの季節にも使える予防策が紹介されました
あんしん財団初めての取組み「冬の感染症対策講座」を開催しました
〔広報誌2019年4月号掲載〕
2019年1月、東京・御茶ノ水にて「冬の感染症対策講座」を実施しました。
中小企業の現場で求められるリスクマネジメントとして正しい感染症対策が求められる現代。
働く人の健康をインフルエンザやノロウイルスなどから守り、業務を滞らせないため、感染症対策は重要です。
2019年1月23日(水)、御茶ノ水・ワテラスコモンホールで行われた「冬の感染症対策講座」。あんしん財団が主催、株式会社健康予防政策機構、東京サラヤ株式会社の協力で行われました。
海外での医療従事で知った感染症の恐ろしさと対策法
第1部では、株式会社健康予防政策機構 岩﨑惠美子氏による講義「感染症の基礎知識とその予防対策」が行われました。世界各地の感染症が流行する現場で医療に従事してきた岩﨑氏。
「 私と同じ施設で働いていた医者や清掃担当者が、床や施設内にこぼれた吐物や便からエボラ出血熱に感染し、亡くなっていくのを見てきました。そこで学んだのは、感染症には何よりも『手を洗うこと』が一番の予防法だということです」
ウイルスなどの病原体は、くしゃみやせき、鼻水、吐しゃ物により、壁や床、ドアノブやエレベーターのボタン、手すりに付着。それに触れた手を無意識に口や鼻に近づけることで体に入ってしまいます(接触感染)。
「 ですから、まず手洗い。環境の清浄。そしてワクチンは接種してほしいです。自分だけでなく、周りの人の健康を守るためだと考えてください」
近年は冬だけでなく、夏にも流行するインフルエンザ。さらに風疹、夏場に多い食中毒を引きおこす細菌の感染など、注意が必要なのは冬に限りません。それらを防ぐためにも役立つ、手洗いと環境の清浄については、次のページで詳しくご紹介します。
講師プロフィール
岩﨑惠美子氏
新潟大学医学部卒業。1998年厚生省 成田空港検疫所企画調整官、仙台検疫所長就任。
2000年WHO の派遣要請によりウガンダ現地におけるエボラ出血熱の診療・診断・調査活動に従事。07年仙台市副市長に就任。
現在は株式会社健康予防政策機構 代表取締役。
「正しい手洗い」「吐しゃ物の適切な処理」を実演・実習
本講座第2部のテーマは「吐しゃ物の適切な処理と正しい手洗い方法」。第1部で感染症対策の要として挙げられた「手洗い」と「環境の清浄」。環境の清浄には、鼻をかんだティッシュの処理、トイレや壁、ドアノブなどの掃除をきちんと行う、といったアドバイスがありました。そのうえで、未経験者が戸惑う「吐しゃ物の処理」の実習、そして手洗いの実演を、東京サラヤ株式会社から講師をお招きし行いました。
基本の手洗い
1 まず手指を流水でぬらす。
2 泡石けん液を適量手のひらに取り出す。
3 手のひらと手のひらをすり合わせよく泡立てる。
4 手の甲をもう片方の手のひらでもみ洗う(両手)。
5 指を組んで両手の指の間をもみ洗う。
6 親指をもう片方の手で包みもみ洗う(両手)。
7 指先をもう片方の手のひらでもみ洗う(両手)。
8 両手首までていねいにもみ洗う。
9 流水でよくすすぐ。
10 ペーパータオルでよく水気をふき取る。
→この後、アルコール消毒を!
吐しゃ物の適切な処理方法
<準備>
1 ゴム手袋(二重にする)、マスク、ビニール製のガウン(レインコートでも可)、シューズカバーを装着。ゴミ袋2枚の口を広げておく。
2 次亜塩素酸ナトリウム液(家庭用液体塩素系漂白剤でも可)100㎖をバケツなどに入れ3ℓの水で薄め「調製液」をつくる。
3 換気をし、処理を行う人以外を吐しゃ物から遠ざける。
<処理>
4 吐しゃ物を外側から内側へとペーパータオルなどで覆い、その上から吐しゃ物と同量の調製液を静かに注ぐ。
5 ペーパータオルを使って、吐しゃ物を外から内に向けて静かに取り除き、ゴミ袋に捨てる。
6 外側の手袋を外しゴミ袋へ。調製液に浸したぺーパータオルでシューズカバー全体をふき、ゴミ袋へ。
7 ゴミ袋の中に調製液を、全体がまんべんなく濡れる程度に注ぎ、液が漏れないようにしっかり口を縛る。これをもう1枚のゴミ袋に入れる。
8 吐しゃ物があった場所から半径2m(壁も含め)を調製液を染み込ませたペーパータオルで覆い10分置く。
9 8 を7 に入れ、乾いたペーパータオルでふき、その後水ぶきし、すべてを7 へ。
10 シューズカバー、手袋、ガウン、マスクの順に外して7 へ入れ、口をしっかり縛る。手袋は内側からめくるように外すこと!
11 ゴミ袋の口を閉じる時、中に空気がたまっていても抜かない。処理後は2度の手洗いとうがいをする。
→いざという時のため、1 ~11で使用されたものを「吐しゃ物処理キット」として用意しておくと安心。