〔広報誌2023年5月号掲載〕
4年ぶりの開催!
“ワザ伝”プロジェクトinふくしま キッズワークショップ2023を開催しました
日本が誇る中小企業の“モノづくりの技”の素晴らしさ、楽しさを伝えるため、あんしん財団では子ども向けのワークショップを全国各地で開催しています。4年ぶりの開催となった今回は、感染予防策を徹底のうえ、2023年3月5日(日)に福島市で実施しました。
会場となったのは、子どものための教育文化の複合施設「こむこむ館」。当日は10のワークショップを実施。プロの“技”を学ぶべく、約1,200人が来場しました。
金属ってどうやって加工するの?
「精密コマ」づくり体験
「精密コマ」づくり体験では、全日本製造業コマ大戦で優勝経験のある、仙南マシンクラブの皆さんが金属加工の技を教えてくれました。子どもたちは金属の知識をクイズで楽しく深めた後、コマづくりに挑戦。軸、胴体、鋼球の3つのパーツを組み合わせて、専用の機械で圧力をかけて合体させます。自分だけのコマが完成するとうれしそうに何度も回してみる子どもたち。後半は「体験!モノができるまで」と題し、コマのデザインの考案~図面作成~打合せ~注文書づくりを体験してもらいました。
プロの道具に触れながら自分だけのコマを製作。
自分でつくった精密コマを実際に回して観察。「うまく回るかな?」。
強いコマにするためのデザインとは?講師に相談しながらみんなで意見を出し合う。
自分でつくったコマで対戦!
行司役の講師の「よーい、のこった!」の掛け声で対決。土俵上のコマがぶつかり、弾き合う。子どもたちの目は真剣。
協力 宮城県仙南地区・仙南マシンクラブ
工業高校の生徒が体験するような高いレベルの金属加工の技術に触れて、製造業に興味を持ってくれたらうれしいですね。
ハレの日に華を添える「水引」でオリジナルのしおりづくり
「水引」のしおりづくりでは、水引の歴史や文化に触れながら心を込めて丁寧につくることの大切さを学んだ後、基本の結び方の一つであるあわじ結びにチャレンジ。子どもたちは講師にコツを教わりながら、「編み方が緩いとかっこ悪い」などと自分なりに工夫して、少しずつきれいな形がつくれるように。地元・福島県二本松市の上川崎和紙を使った台紙に付けて、オリジナルのしおりが完成しました。
丁寧な指導のもと、一工程ずつ、手順に従って水引を結んでいく。
色とりどりの水引をどう組み合わせるかにも個性が表れる。
水引を結び、みんなの力で大きな梅の木が完成!
「みんなで大きな水引作品をつくろう!」では「梅むすび」を作成。梅の木の絵に貼り付けて、みんなで一つの作品をつくりあげました。また持ち帰り用に小さな梅むすびも作成。子どもたちにとって大切な記念品になったようです。
協力 長野県飯田市・飯田水引プロジェクト
水引には日本の和紙の伝統技術が詰まっています。贈りものやお祝いごとに使ってみてほしいですね。
伝統的な色彩や技術を形に「つまみ細工」のチャームづくり
今回初めて実施した「つまみ細工」のチャームづくりでは、「丸つまみ」と「剣つまみ」という技法で花のオリジナルチャームをつくりました。ピンセットを箸のように持って13㎜四方の小さい布を折り、花びらを1枚ずつつくっていく細かい作業。「角がうまくそろわない」といいながらも子どもたちは奮闘し、きれいな花の形にできあがったチャームは宝物となりました。
「一つひとつの作業を丁寧に、心を込めて」と語る講師の手元をじっと見つめる。
細かい手作業に真剣に取り組む。「ピンセットで折るのが難しいけど、おもしろい」と子どもたち。
好きな色の布で花びらを1枚ずつ、つくっていく。
協力 東京都豊島区・一般社団法人伝統工芸つまみ細工技術協会
子どもたちにはつまみ細工が古いものという感覚はなく、新鮮な気持ちで取り組んでくれ、色とりどりの個性豊かな作品ができました。
高等専門学校の学生たちとお湯や風力で動く機械をつくる
“ワザ伝”プロジェクトでは地域との連携も目指しており、今回も地元・福島工業高等専門学校の皆さんが協力してくれました。普段は学ぶ立場の学生さんが今日は先生役。「モノづくりの楽しさを感じてほしい」と熱心に教えてくれて、子どもたちもつくった模型や車を大事そうに持ち帰っていました。
学生さんに教わりながらエンジンの部品を組み立てていく。
お湯で動く「スターリングエンジン」の仕組みに興味津々。
風に向かって走る車「ウインドカー」。扇風機の前に置くと、「あ、前に進む!」とびっくり。
協力 福島工業高等専門学校 機械システム工学科/モノづくり教育研究支援センター
現代の名工が力強い筆使いで「看板づくり」を披露
地元のモノづくりを子どもたちに知ってもらおうと、今回初めて福島市内の企業に協力を呼びかけました。そして実現したのが、「現代の名工」を受賞した有限会社タカ工芸社の髙橋敏夫氏による看板制作の実演です。髙橋氏の力強い筆使いに子どもたちも圧倒された様子。また「指で描くデザイン文字」では手形と手書き文字を組み合わせて、楽しい作品が完成しました。
「どうしたらはみ出さないで書けるの?」という子どもからの質問に、「頭の中で、どう書こうかなとイメージしているからだよ」と髙橋氏。
「指で描くデザイン文字」ではのびのびとした創造力とひらめきを発揮して作品を制作。