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かけがえのない従業員を守る「KYT(危険予知訓練)」でゼロ災運動

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すぐに取り入れたい! かけがえのない従業員を守る「KYT(危険予知訓練)」でゼロ災運動

〔広報誌2020年3月号掲載〕

 労働現場での「ゼロ災害」を目指して行われている取組みの一つに「KYT(危険予知訓練)」があるのをご存じでしょうか。
当法人では、長年にわたり各地で研修会を開催し、毎回多くの方にご参加いただいています。
 そこで今回、 中央労働災害防止協会ゼロ災推進センターの鈴木博仁所長にお話を伺い、KYTとは、そして、その重要性をご紹介します。




中央労働災害防止協会
ゼロ災推進センター所長
鈴木 博仁氏

1977年、中央労働災害防止協会に入職。「安全衛生マネジメントシステム評価」の企画・開発を経て、2009年にセンター所長に就任。国内外で「ゼロ災害全員参加運動」の普及に取り組む。


少ない負担で導入できるKYTは特に中小企業にとって有効な手法

 KYTとは、危険予知訓練のこと。覚えやすいように「危険=K、予知=Y、訓練(トレーニング)=T」で「KYT」という名称にしています。1973年、中央労働災害防止協会(以下、中災防)の視察団がベルギーで見た、交通安全の教育用シートをヒントに編み出されました。以来、改良を重ねながら半世紀近く受け継がれ、現在では多くの企業で取り入れられています。このKYTの有意性について、中災防ゼロ災推進センター所長の鈴木氏は、次のように説明しています。
 「2018年の労働災害による死傷者数(休業4日以上)は12万7,329人に上り、その約75%が100人未満の事業場で発生しています。大企業に比べ機械・設備の安全化を進めにくい中小企業では、現場に相当なリスクが残る中、安全管理を人に頼らざるを得ない状況になってしまっています。では、いかにしてヒューマンエラーをなくすか考えた時に、『安全対策を考えたうえで危険を回避していくことを習慣化する』KYTは、特に中小企業とって非常に有効な手法であり、負担が少なく導入できるという点でも優れているといえるでしょう」
 鈴木氏によれば、韓国、中国などアジアを中心に世界各国から、多くの人がKYTを学びに中災防を訪れているとのこと。KYTの有効性を世界が認めているのです。
 
ゼロ災害全員参加運動(ゼロ災運動)とは

 「人間尊重の理念に基づき、全員参加で安全衛生を先取りし、一切の労働災害を許さずゼロ災害、ゼロ疾病を究極の目標に、働く人々全員が、それぞれの立場、持ち場で労働災害防止活動に参加し、問題を解決するいきいきとした職場風土づくりをめざす運動」として全国の事業場で展開されています。












KYTは「不安全な行動をとる人」を「安全な人」へ変えていく

 事故は「不安全状態(モノ)」「不安全行動(ヒト)」の二つの危険要因が重なって起きます。このうち、ヒトに起因する不安全行動をなくすことが、KYTの目指すところです。
 不安全行動は「安全対策を知っているし、できるはずなのに、対策を怠った」ことで起き、それが事故につながっていきます。その場合、「危険を危険と気付かなかった」「ついウッカリしていた」「やる気がなかった」という三つのケースが考えられます。
 KYTには、1.感受性を鋭くする、2.集中力を高める、3.実践への意欲を高める、という効果があり、上記のような「不安全な行動をとる人」を「安全な人」に変えていくことが期待できます。
 ほかにも4.メンバーの問題解決能力の向上、5.ゼロ災職場風土の醸成という効果があります。これについて、鈴木氏は次のように話しています。
 「KYTは、そのプロセスにおいて、グループのメンバーを尊重しながら、何でも言い合える、注意し合える雰囲気、関係性を築いていきます。そうした職場は、メンバーの気付きを促し、やる気を引き出します。そして、『安全』だけではなく『生産』や『品質』の面でも、『自分たちの力で何とかしていこう』という先取り的、問題解決的な機運が生まれてきます。グループで行うKYTは、“グループダイナミクス”によって個人の行動を変えていく手法なのです。
 ですから、KYT活動は決して『コスト』ではなく、現場力向上というリターンを生む『投資』だといえます。
一度事故が起きると経営に大きな打撃となります。安全に『投資』することは、経営者にしかできないことなのです」

KYTの効果

  1. 危険に対する感受性を鋭くする
  2. 集中力を高めて、ウッカリ・ぼんやり・不注意を防ぐ
  3. ヤロウ・ヤルゾの実践への意欲を高める
  4. 危険に対する問題解決能力を向上させ、職場での信頼感を得る
  5. 「 先取り的」で「参加的」なゼロ災職場風土を醸成メンバーの気付きを促し、やる気を向上させる

「現場力」を高める!


明日から実践できるKYTの心得

部下にひと声かけるだけで雰囲気は変わる

 「職場のリーダー、管理・監督者が、部下に対して細やかな目配りをし、ひと言、声をかけることで、雰囲気は大きく変わります。『今日の作業で危険なのはどういうところ?』とか、『今朝はどんな指差し呼称に決めたの?』といった、何気ない声かけでいいんです。でも、そのひと言で、部下は『自分たちがやっていることに関心を持ってくれている』と受け止めます。上司に関心を持ってもらえているとわかれば、そこにKYTに取り組む当事者意識が生まれ、やらされ感はなくなるでしょう」







あんしん財団はゼロ災運動の普及に取り組んでいます

中小企業の皆さまが、事故なく安全に働けるよう、あんしん財団では「KYT 一日研修会」を約30年にわたり実施。2019年は、全国5都県で計7回実施し、グループワークを通して、多くの参加者の方が職場に潜む危険について考えるきっかけをご提供してきました。近年は女性の参加者も増えてきており、中でも「女性限定KYT 一日研修会」は毎回ご好評をいただいています。