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救急現場での行動が命を救う!応急手当の重要性を学ぼう

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〔広報誌2020年9月号掲載〕

 9月9日の「救急の日」にちなんで、救命や応急手当についてあらためて考えてみませんか。緊急の際、応急手当を速やかに行うことは、救命効果向上や治療効果によい影響を与えることが医学的にも明らかになっています。応急手当の重要性を再確認しつつ、WEB講習などを活用して基礎知識を身に付けましょう。

適切な応急手当が傷病者の生存率と社会復帰率を高める

 一般に応急手当とは、突然のケガや病気に対して、その場に居合わせた人(以下、バイスタンダー)による手当のことをいいます。傷病の度合いや状況によって、その必要性は変化しますが、傷病者の心臓や呼吸が止まった状態では、特に重要性が増します。救急車が到着するまでの約7分間(東京都内平均7分02秒)の応急手当の有無によって、傷病者の生存率は大きく左右されるのです( 図1 )。

 さらに、バイスタンダーによる手当があった場合は、傷病者の生存率だけでなく、社会復帰の可能性も格段に高くなります。応急手当を施された傷病者が1ヵ月後に生存している確率は、応急手当のなかった場合に比べると約2倍。そのうち、1ヵ月後の社会復帰率を比較すると、応急手当を施された傷病者のほうがおよそ2.8倍も多くなっています( 図2 )。

 ケガを負った人や心停止になった人と居合わせる可能性は誰にでもあり( 事例1・2 )、人命救助で大きな役割を担う応急手当は誰もが理解しておきたいものです。中小企業においても、従業員の救命や早期の社会復帰など、職場の仲間を守ることにもつながるだけに、万が一に備えた知識は従業員全員に周知しておきましょう。
図1 応急手当の有無による救命の可能性比較
図2 応急手当(心肺蘇生)の有無による1ヵ月後生存率と社会復帰率
総務省消防庁「一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者のうち、一般市民による心肺蘇生等実施の有無別の生存率(平成30年)」をもとに当法人でグラフを作成
 

さまざまな救急現場で、バイスタンダーの活躍が報告されています!


自転車に乗っている最中、後輪に足を挟まれて負傷した女性を通行人が発見。119番通報した後、タオルを使った「直接圧迫止血法(出血部位を押さえて止血する方法)」を実施し、出血をほぼ止めることに成功。



会議中に突然、呼吸困難になり卒倒。呼吸と脈の停止を確認した周囲の同僚2名が心肺蘇生を実施。救急隊の到着後、男性の呼吸が回復した。

緊急事態では落ち着いた判断と救命の連鎖をつなげることが大切です

  適切な応急手当を実施し、心停止した傷病者の生存率や社会復帰率を高めるには、発見から医師による治療までの一連の行動をスムーズにつなげることが大切です。これを「救命の連鎖」といい、下のような4つの輪で表されます。このうち1~3はバイスタンダーにより行われることが救命において非常に大きな意味を持っています。
 万が一の時、落ち着いた行動によって傷病者を救うことができるよう、救命の連鎖を構成する「4つの輪」について確実に押さえておきましょう。

※自動体外式除細動器。心電図を解析し、電気ショックによって心臓の動きを正常な状態に戻す。

無料で取り組めるeラーニングWEB講習で応急手当の知識を深めよう

 応急手当の知識・技術は、消防本部や消防署が実施している講習を受けることで習得することができます。また、消防庁のホームページでは、eラーニング「一般市民向け 応急手当WEB講習」を無料で公開。応急手当の基礎知識、心肺蘇生の一連の流れなどを動画解説や確認テストで学ぶことができます。パソコンやスマートフォンで誰でも好きな時間に視聴できるため、講習に出向くのが難しい場合や、知識を深めたり再確認したりする際に活用してください。

一般市民向け 応急手当WEB講習「消防庁eラーニング」
https://www.fdma.go.jp/relocation/kyukyukikaku/oukyu/


※図および事例はそれぞれ、政府広報オンラインと総務省消防庁、東京消防庁の資料より抜粋

協力:東京消防庁四谷消防署警防課救急係