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日本の中小企業経営者の心と体、働き方vol.16

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日本の中小企業経営者の心と体、働き方vol.16


過去15回の連載から振り返る中小企業経営者に必要なこと

中小企業経営者の健康問題にスポットを当てたAMAROK JAPANの研究成果から、健康的な経営を実現するヒントを紹介してきた本連載。最終回となる今回は、これまでの連載から、今後の企業経営に役立つトピックスを再確認します。



“企業最大の資産”である経営者の健康を守るために、できることから着実に実践していきましょう


 これまでの連載で紹介してきた、睡眠改善やストレス対策などは、どれも大切なトピックスです。一度にすべてを実践できなくても、少しずつ改善に向けて行動すれば、必ず健康的な経営につながっていきます。経営者の健康は企業経営の要であることを心に留め、今後も自身の心と体に気を配り、健康的に働いていきましょう。





健康を犠牲にしないタイムマネジメント
 経営者は従業員に比べて、比較的自由に時間を使えます。その一方で、働く時間を管理してくれる人がいないため、食事や睡眠の時間を犠牲にしてしまうことも珍しくありません。しかし、それが原因で健康を損ない、仕事に悪影響を与えては本末転倒です。健康を犠牲にしないタイムマネジメントを心がけるようにしましょう。





睡眠の質と時間を見直して、最高のパフォーマンスを発揮しましょう
 国民平均より1時間以上も短い、中小企業経営者の睡眠時間。たとえ短期間であっても、睡眠不足はヒューマンエラーを招く大きなリスクです。寝酒などの悪習慣や、寝室の環境を見直して、睡眠の質を高めることが大切です。
寝付けない時は「ストップ」と唱える
 入眠時は、仕事のことを考えないようにして、眠ることに集中しましょう。考えごとが頭を巡って眠れない時の対策として、AMAROK JAPAN 代表の尾久氏は、「ストップ」と唱えることをおすすめしています。




心身の健康を保つために客観的な視点を取り入れましょう
 健康の自己評価が高い日本人経営者。しかし、総合的な肉体的健康の評価値はフランス人経営者よりも低い結果となりました。心身ともに、自覚症状が少ない病気は多いので、医師や家族などの客観的な視点を重視し、自身の健康を管理しましょう。
AMAROK日仏調査「肉体的健康の評価」
ヒアリング調査で得られた回答のうち、食事や睡眠に関するものを総合的に分析し、5点満点で評価。




事業承継の第一歩は会社譲渡の期日を決めることから
 事業承継を考えるなら、まずは期日を決めて、必要な物ごとを逆算しましょう。その際は、譲渡相手と一緒に仕事をすることも検討してください。相手が家族や部下でなくとも、仕事が「楽しい」と思えるような、価値観を共有できる関係性を築ければ、事業承継はうまくいくはずです。
譲渡者との関係(会社を譲渡してくれた人と一緒に仕事をしたときの感想)



燃え尽きないための8つのルール
 優秀なリーダーであろうとする意識は、時に自らを追い詰め、燃え尽き症候群のリスクを高めます。AMAROK フランス本部の代表、オリビエ・トレス氏が提唱する「8つのルール」を参考に、心と体の健康を大切にすることを心がけてください。






亀井克之氏
AMAROK JAPAN 事務局長、関西大学社会安全学部教授。日本リスクマネジメント学会副理事長など兼務。経営学をベースとしたリスクマネジメントを専門とする。
経営者の潜在的な健康リスクを再確認しましょう。
 3年間の日仏共同研究で、自分の裁量で仕事に取り組める中小企業経営者の方が、一般の人より健康的であることがわかりました。一方、中小企業経営者は頑張りすぎて健康を損なう可能性もあります。中小企業は経営者への依存が高い分、経営者の健康は経営に直接影響を及ぼします。
 リスクマネジメントの観点では、経営者の健康リスクは①隠れている、②変化する、③繰り返す、と考えられます。リスクの特定→想定→対応という流れで、健康を損なう要因を特定し、病気が経営に与える打撃を想定し、リスクへの対応として健康管理を怠らないことが大切です。経営者がしっかり睡眠をとる。食事に注意する。健全な気分転換の方法を持つ。相談相手と話す。笑う。歩く。こうした何気ない日常の取組みが、大きなリスクマネジメントなのです。





尾久裕紀氏
AMAROK JAPAN 代表、大妻女子大学人間関係学部教授。日本リスクマネジメント学会理事など兼務。臨床心理学を専門とし、企業の産業医、精神科コンサルタントなども務める。
健康課題の改善は、長い目で実践することが大切です。
 中小企業経営者は、一般労働者より心身ともに健康といえますが、持続的なストレスがかかると限界を超え、健康障害が発症します。予防のためには、そのリスク要因を軽減し、防御要因を強化するとよいでしょう。
 具体的には、最も重要な睡眠や食事、運動の時間を確保すること、次に、家族・仲間と過ごす時間を大事にすることです。いざという時に頼れる人がいることは、ストレスの緩衝要因となります。仕事面では、時に人に任せることも必要です。そして常に大志を抱き、仕事に励むことが健康の秘訣といえるでしょう。