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日本の中小企業経営者の心と体、働き方vol.14

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日本の中小企業経営者の心と体、働き方vol.14


1年間、この連載をお読みいただいた皆さまからのご質問にお答えします
~Q&A前編~

本誌『あんしんLife』8月号で読者の皆さまにアンケートのご協力をお願いしました。ご回答いただきました皆さまに厚くお礼申し上げます。
いくつかのご回答の中でAMAROK JAPAN メンバーの尾久氏と亀井氏へのご質問をいただきました。今月号と来月号では、そのアンサーをご紹介します。



亀井克之氏(写真左)
AMAROK JAPAN 事務局長、関西大学社会安全学部教授。日本リスクマネジメント学会副理事長など兼務。経営学をベースとしたリスクマネジメントを専門とする。

尾久裕紀氏(写真右)
AMAROK JAPAN代表、大妻女子大学人間関係学部教授。日本リスクマネジメント学会理事など兼務。臨床心理学を専門とし、企業の産業医、精神科コンサルタントなども務める。





そもそも、「AMAROK」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか?


AMAROKとは、イヌイットの言葉でオオカミのような猛獣を意味しています。私たちは、社会の基盤を提供してくれているもの(その代表が無数の中小企業です)を守らなければいけません。それはまさに、「猛獣は小動物を食べることで命をつないでいて、食物連鎖体系の基盤となっている小動物を保護しなければならない」ということとよく似ています。フランスAMAROK 本部設立者であるモンペリエ大学経営学部教授オリビエ・トレス氏が中心となり打ち立てられた「成熟した社会は、企業家を守る社会」という理念、これを表すものとしてAMAROKという名が選ばれました。
(回答/亀井克之氏)



フランス人と日本人の中小企業経営者の健康状態を比較していますが、その調査結果から学ぶべきことがあるということでしょうか?


調査結果から、「フランス人経営者は日本人経営者に比べ、ストレスを感じる人が多く、孤立感が高いですが、仕事の充足感が高く、また労働時間は多くはなく、睡眠時間も多く、気分と体調がよい」という結果が出ています。
この中で特に、「労働時間が多いこと」と「睡眠時間が少ないこと」が、心身の健康に悪影響を与えるということは、AMAROKの調査研究に限らず、これまでのほかの複数の専門家による研究からも明らかです。この点から、日本の中小企業の皆さまには、少なくとも長時間労働を避け、必要な睡眠をとることの重要性は再認識していただきたいと考えます。
(回答/尾久裕紀氏)





2019年8月号でオリビエ・トレス氏は、中小企業経営者の健康増進に特に貢献することは「適応する能力」「打たれ強さ」「自分の行動の結果を受け入れる能力」だと語っていましたが、どうしたら身に付きますか?


トレス氏のいう「適応する能力」「打たれ強さ」「自分の行動の結果を受け入れる能力」は、レジリエンス(困難な状況を克服し、適応する力)やポジティブ心理学という概念とも共通するものです。
ここでは、これまでのAMAROKによる研究結果から、中小企業経営者がこの3つの能力を身に付けるためにできることをご紹介します。1つでも多く実践することから始めてみてください。
レジリエンスを獲得する7つのルール
1 睡眠、食事、運動を確保する
2 家族、仲間と過ごす時間を確保する
3 ネットワークをつくり、いざという時に頼る
4 従業員に期待しすぎない
5 人にまかせる
6 人を愛し、自分も愛す
7 大志を抱く
(回答/尾久裕紀氏)



記事を読ませていただき、経営者の心と体の健康が会社全体にとって大切であることを自覚したので、たとえ忙しくても自分の時間をつくるように工夫しています。何か「コツ」があれば教えてください。


一日の終わりにおいて、仕事場での心配から意識を切り離す能力を「緊張緩和速度」といいます。これは仕事のストレスを減らし、仕事に対する満足度を高めることができる指標として知られています。経営者は管理職と比べて、この緊張緩和速度が遅いといわれています。すなわち、仕事とプライベートの切り替え、自分の時間をつくることが難しいことを示しています。経営者の皆さまは、気になること、やるべきことが多いと思いますが、一定の時間が来たら「翌日すべきこと」をメモなどに書き出し、その後は割り切って仕事のことを考えないようにすることが有効な一案かと思います。
(回答/尾久裕紀氏)